お客様からのご依頼
◇A-1.ご希望をお聞かせください。（いくつでも）
汗じみやしみがついてしまった。

◇A-2.（A-1でその他を選んだ方）ご希望をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
留袖に赤茶色のカビらしきものが出来ています。背中と袖に数か所あります。背中は直径３cmほど、ほかはもっと小さい範囲です。裏地にもシミのようなものがあります。

◇B．今回のお着物のご購入入手時期、または作成時期
３５年前

返信内容
メール有難うございます。
留袖の赤茶色になったのはカビだと思います。
そのままにしておきますと赤茶色の部分に穴が開きます。
そうなると手の施しようがありません。
裏地のシミは汗によるシミでしょう。
どこまで落とせるか拝見しないと分かりません。
薄めることはできると思いまっすがきれいに落としきるのは無理かもしれません。
留袖も金彩仕上げを加えますとかなり豪華にできると思います。
いずれにしましてもその留袖は急ぐほうがいいと思います。
カビが赤茶色に変色しているのは危険な状態です。
カビ、シミ落としー金彩ー洗い、地染めープレス
この工程をたどると思います。
拝見していませんので確実ではありませんが７，８万円くらいかかると思います。
振袖と一緒にお見積もりさせていただきます。
よろしくお願いします。

納品時のメール内容
この度は公庄工房をご利用くださり有難うございます。
お預かりしています振袖金彩直し、留め袖カビ、シミ落とし出来上がりました。
振袖はすべての金彩をやり直し、禿げていました裾、袖裾金彩も新しくやり直しました。また、胸、肩に金彩を加えるようご提案していましたが、袖の内側に金彩がありませんでしたのでここに新しく加えたほうが全体のバランスが良くなると判断しました。
金彩→丸洗い
この工程で八万円になります。
黒留袖はカビによる変色、全体の黒が退色していましたので色をはき合わせ黒く染め直しました。その後金彩を加えました。
金彩を加えたことで、この留め袖本来のあるべき姿になっています。
胴裏のシミ汚れも落としましたがわずかにあとが残っています。
これ以上落とすことができません。これでご了解をお願いします。
カビ、シミ汚れ落とし→金彩→地色染め直し→プレス
この工程で七万円。
合計金額は消費税を加えまして十五万七千五百円になりました。
この着物を私のHP京友禅公庄工房へ掲載のお許しをお願いします。
現在着物の多くは国外で生産されるため、私たち着物職人は仕事がなく困窮しています。少しでも多くの仕事を確保し職人の生活を守りたいと思っています。
日本の文化でもある着物作りの技術を次の世代に伝えてゆきたいと努力しています。どうかよろしくお願いします。
有難うございました。
今後とも公庄工房をよろしくお願いします。

●　工程
①振袖金彩直し

1、金彩
2、丸洗い

②黒留袖

1、カビ、シミ汚れ落とし
2、金彩
3、地色染め直し
4、プレス